読売新聞は2015年12月31日付朝刊で「核燃サイクル 岐路に」と見出しをつけた記事を掲載した。その中で、日本原燃の使用済み核燃料再処理工場について「試験では700万トン以上の再処理に成功しており、工場建設は最終段階にある」と記していたのは誤りで、実際は「425トン」だったとして今年1月6日付朝刊で訂正した。
日本原燃のホームページによると、青森県六ヶ所村に日本初の商用再処理工場として建設中。最大処理能力は800トン・ウラン/年で、100万kW級原子力発電所約40基分の使用済燃料を処理する能力に相当するとされる。現在、操業運転前の最終段階にあたる「アクティブ試験」に入っており、試験で使用する使用済燃料は加圧水型軽水炉燃料(PWR燃料)約210トン、沸騰水型軽水炉燃料(BWR燃料)約220トンの計約430トンと記されている。「アクティブ試験」は10年前の2006年から始まり、進捗率は96%(昨年11月末)に達しているものの、相次ぐトラブルで繰り返し延期。2018年に完成予定としている。
記事は、「MOX燃料工場」など関連施設の完成も遅れ、高レベル放射性廃棄物の最終処分場の建設場所が決まっておらず、高速増殖炉「もんじゅ」も日本原子力開発機構に代わる運営組織探しに電力業界が否定的であると指摘。「もんじゅが存続するかどうかも、核燃料サイクル事業に大きな影響を与えそうだ」と伝えていた。
核燃サイクル 岐路に 施設トラブル相次ぐ/最終処分場決まらず
政府が進める核燃料サイクル事業が、関連施設の相次ぐトラブルで岐路に立たされている。原子力発電所を安定的に稼働させるためには欠かせないだけに、事業が行き詰まれば消費者の電気料金にも影響する可能性がある。
…(略)…
事業の中核を担う日本原燃の工藤健二社長は11月の記者会見で、使用済み核燃料の再処理工場(青森県)の完成時期を2016年3月から18年度上半期(4~9月)に延期すると表明した。国が定めた新たな規制基準に適応する緊急時の態勢づくりなどが間に合わなくなったためだ。
試験では700万トン以上の再処理に成功しており、工場建設は最終段階にある。だが、相次ぐトラブルで延期は23回目となった。18年度に完成しても、当初予定(1997年)から20年以上もの遅れになる。…(以下、略)…読売新聞2016年12月31日付朝刊13(経済)面
読売新聞2016年1月6日付朝刊30(2社)面
- 再処理工場のこれまで (日本原燃)
- 再処理工場「アクティブ試験」の概要 (日本原燃)
- 再処理工場「アクティブ試験」の進捗率 (日本原燃)
- (初稿:2016年1月7日 06:00)
- (修正:2016年1月7日 13:56)「検証対象」の記事が訂正前の「700万トン以上」ではなく訂正後の「425トン」と記されていたため、修正しました。
- (追記:2016年1月14日 15:26)検証対象記事のキャプション説明が漏れていたため、追記しました。