朝日新聞は1月20日付朝刊オピニオン面に「耕論 連続テロの底に」と題して、フランス哲学者ベルナールアンリ・レビ氏と同志社大学教授の内藤正典氏のインタビュー内容を掲載した。ベルナールアンリ・レビ氏の発言中、「『愛国的行動』のワナにはまってはならない」という記載は「『愛国者法』のワナにはまってはならない」の誤りで、内藤正典氏の発言中、「パラダイムが異なる両者は『共役不可能』な関係にあり」という記載は「パラダイムが異なる両者は『共約不可能』な関係にあり」の誤りだったとして、22日付朝刊で訂正した。
ドゴール以降のフランスにとって正念場です。第2次大戦時のチャーチル英首相のように、指導者は国民に真実を語らねばいけません。我々は長く恐ろしい試練のとば口にいると。そして、その試練には冷静に立ち向かうべきだと。とりわけ「愛国者的行動」のワナにはまってはならない。
9・11後に米国が犯した過ちを繰り返さないことです。CIAが認めたように、グアンタナモ収容所も拷問も、組織的な通信傍受も無力でした。例外的な手段は取らないと肝に銘じたいものです。
(内藤正典氏の発言から一部抜粋、太字が訂正箇所)
西欧とイスラムは、パラダイム(構成原理の体系)が違う。西欧、特にフランスでは神から離れることで自由を得た。イスラムでは、神と共にあることで自由になれると考える。神の法が認める範囲では欲望を満たし、人生を楽しむことが許されるからです。
パラダイムが異なる両者は「共役(きょうやく)不可能」な関係にあり、一方の原理を押しつけても他方には通じない。暴力の応酬を断つなら、パラダイムの違いを認識した上で、一から共存への道を探っていくしかない。啓蒙(けいもう)が西欧の普遍的な価値だとしても、圧力でイスラムが変わることは決してありません。朝日新聞2015年1月20日付朝刊15面
朝日新聞2015年1月22日付朝刊15面
- (初稿:2015年1月23日 18:35)