日本経済新聞は1月17日付朝刊1面で「原電、東西で分社検討 運転・廃炉請負で経営再建」と見出しをつけ、原子力発電専業の日本原子力発電が国内の原発事業を東西で分社する検討に入ったと報じた。記事は、原電が1月中にもまとめる改革案に分社化案を盛り込む方針としている。これに対し、原電はホームページで「分社化」を否定するコメントを発表。濱田康男社長が中日新聞の取材で「検討していない」と否定した。
記事によれば、筆頭株主の東京電力が分社案を示し、2位株主の関西電力も同意する方針と報道。4面に掲載された関連記事は「原発事業再編へ思惑も」と見出しをつけ、「日本原子力発電の分社化は、原発事業の再編を進めたい政府の思惑が背景にある」「公的管理下にある東電が原電に分社化を提案したのも『原発再編の受け皿に』という政府内の意向があるとみられる」と説明。だが、原電側の意向については触れていなかった。
1月20日付中日新聞の報道によると、濱田社長は19日、中日新聞福井支社を訪れ、同支社長らと懇談。その際、分社化の検討に入ったとの一部報道について「検討も公表もしていない」「われわれにも地元にも影響が大きい。軽々と論ずる話じゃない」と述べたという。原電の広報担当者に確認したところ、報道された事実関係をおおむね認めた。福井県には原電が保有する敦賀原発がある。
濱田社長が否定したことから、原電が分社化の検討に入り、近くまとめる改革案の盛り込むとの報道は誤報の可能性が高い。ただ、東電は原電に分社化を提案したとの報道を否定しておらず、分社の提案がなされていたとすれば原電として検討を余議なくされる可能性はある。東電は原電の筆頭株主で、持株比率は約28%(2014年3月末現在、原電ホームページによる)。
原電、東西で分社検討 運転・廃炉請負で経営再建
原子力発電専業の日本原子力発電は国内の原発事業を東西で分社する検討に入った。持ち株会社を新たに設立し、傘下に原発の運転から廃炉まで手がける2つの事業会社をぶら下げる。国内に2種類ある原子炉別に技術や人材を配置して専門性を高め、ほかの電力会社から原発の運転や廃炉作業を請け負う。新たな収入源を確保し経営再建につなげる。
・・・(中略)・・・
分社化は、原電が他社の原発の運営や廃炉作業を請け負い、安定した収入を得るための枠組みづくりだ。このほど筆頭株主の東京電力が原電に分社案を示し、2位株主の関西電力も大筋で同意する方針だ。原電は1月中にもまとめる改革案に分社化の方針を盛り込む見通しで、早ければ2016~17年にかけて実施する。東電などは改革案を受けて、基本料支払いを続ける見込みだ。・・・(以下、略)・・・日本経済新聞2015年1月17日付朝刊1面
原電社長、分社化を否定 再稼働へ意欲
日本原子力発電(原電)の浜田康男社長は十九日、福井市の中日新聞福井支社を訪れ、伊藤博道支社長らと懇談した。「東西で分社化する検討に入った」とする一部報道について「検討も公表もしていない」と否定。敦賀原発2号機(敦賀市)など「既設機の再稼働を一生懸命やりたい」と述べた。
浜田社長は分社化について「われわれにも地元にも影響が大きい。軽々と論ずる話じゃない」と慎重な姿勢。軽水炉は東日本に沸騰水型(BWR)、西日本に加圧水型(PWR)に多く、原電は国内で唯一両型の運転実績があるが「敦賀1号はBWRで敦賀2号はPWR。炉型で分ける理屈でもない」とした。・・・(以下、略)・・・中日新聞ニュースサイト(2015年1月20日付)
- (初稿:2015年1月20日 18:57)